
カラ・ティペッツ
Kara Tippetts
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- 恵みのドレス
先週の一日は、私の余命を示す記事を読んで、何も手につきませんでした。
記事そのものは愛の心で送られてきましたが、私の狭い心は統計データが示す、私の余命の長さだけしか読み取れませんでした。
それまでは、夫ジェイソンと私は悲嘆し泣きもしましたが、平安に満たされていました。
ところがその夜、私は眠れず、心が沈み、子ども一人ひとりの年齢に私の余命を足してみて、平安を失ってしまったのです。
でも、次の日、それはそれは大きな恵みが訪れました。
起きた時は気分がよくありませんでした。
それで近所の人に、息子のレイクをその日世話してもらえないかと頼みました。
しばらくして一人の友人が、夕食を持っていってあげようかと電話をくれました。
私は、それならうちに来て準備してほしい、そして娘のジェインに本を見せてやってほしいのだが可能だろうか、と尋ねました。
彼女はOKと言って来てくれることになりました。
次いで、散歩で同じ道を歩いている女性に電話をしました。
彼女は午後1時に来て私を散歩に連れ出してくれました。
痛みのただ中にある私の心を彼女は楽しませてくれ、私の人生への麗しい希望を与えてくれました。
そのひと時を通して、私は平安が戻ってくるのを感じました。
帰宅し疲れ切っていたので、昼寝をしてもよいかと夕食を作りに来てくれた親切な友人に尋ねました。
彼女は私を階上まで連れて行き、ベッドに寝かせてくれました。
しばらく休んで目覚めると、私に髪があるうちに最後の家族写真を撮るため、写真家のジェン・リンツが来ていました。
私は目をこすりながら階下に行き、何を着て撮影しようかしらと言いました。
すると、料理をしていた友人が、
「あなたは私の服が素敵と言っていたわね」
と言いました。
彼女は自分の車から着替えをかかえて戻ってきました。
そして文字通り自分の服を脱いで私にプレゼントしてくれたのです。
そうです。
私にはこんな素晴らしい友人たちがいるのです。子どもの世話をしてくれ、掃除をし、夕食を作り、家族写真を撮り、散歩中に励ましを与え、自分の着ている服を差し出してくれる友人たちが。
私はその服を「恵みのドレス」と呼んでいます。
友人がプレゼントしてくれてから、まさしく3日間ずっとそれを着ています。
辛い気持ちの時はそれを着ます。
きっと抗がん治療の初日にも着るでしょう。
昨日は髪を全部切りました。
たとえ髪が抜けても、子どもたちがあまり驚かないですむように。
だからその「恵みのドレス」を着ました。
カットの後、その服のまま眠ることにしました。
髪を切ることはそれほど辛いことではありませんでした。
これまで何度もショートヘアにしたことがありますから。
それよりも、切らなければならない理由が辛かったのです。
短く切ったら、次のステップはすべて抜け落ちることです。
着心地のよいグレーの綿のドレスのように、恵みがその日必要なのです。
きっと恵みが与えられると、私は信じています。
私はとても愛されていると感じます。
私たち一家は守られ、祈られています。
奇蹟のような平安がまさしく現実に表されています。
私はただがんだけに向き合っているわけではないと知っています。
知っています。
(続く)
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Just Between Us 誌 2016 冬号より翻訳
Copyright 2016 Kara Tippetts. Translated from Just Between Us, 777 S. Barker Road, Brookfield, WI 53045Original title: And It Was Beautiful
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